「ラジオがもっと楽しくなる本」に心楽しくなる
テレビに押されっぱなしのラジオというイメージが長く続いたメディア界。そこにさらに追い打ちをかけるようにインターネットが…と言われていたのがついこの前の話。ところが、思いがけない展開になってきたのも、皆さんご存じの通り。そう、ネットでラジオが聞けることから、逆にネットでラジオを知った若者が本来のラジオに興味を持つという現象が…。
KAY2のラジオの師匠にSさんがいます。彼、BCLの世界でもとても有名な方ですし、趣味が高じて本職もなんとラジオの世界になったという方。その彼が15年以上も前、インターネットが台頭しはじめた頃に言っていた言葉が忘れられません。
「どんなにメディアの形態が変わろうとも、音声放送は需要があります。絶対に無くなりません。万が一ラジオがなくなったとしても。形は変えても音声放送は生き残ります。」
本当にその通りでした。そして、本来のラジオも無くなるどころが復権の兆しもあるのですから、面白いものです。
そんな時にとてもタイムリーな本が出ました。三才ブックスのムック、「ラジオがもっと楽しくなる本」です。ネットで聞けるラジオ番組の最新情報から本来のラジオ受信機の選び方などなど薄いムックながら内容は盛りだくさん。
その中で2つ、KAYS的にとても興味深い記事がありました。
ひとつはradiko活用術。そう、ネットで聞けるようになったラジオ、そのまさに牽引車となっているソフト&アプリです。それを導入するに当たってのノウハウを微に入り細に入り説明しているのです。考えてみれば、いままでradikoをここまで丁寧に説明した記事、あまり見かけたことがありません。これは意外と貴重かもしれません。
それにしてもこのradiko。その影響力は多大です。リスナーを増やしたのはもちろんのこと。それだけではなく、放送局の番組編成にも大きな影響を与えています。この本にも書かれていますが、なんと放送内容を全く変えてしまった放送局まで存在するのです。それがラジオ日経の第2放送です。以前は第1放送の再放送などが多く、株や医療、そして競馬と、特定の人以外にはあまり興味を持てる編成のチャンネルではなかったのですが、ご存じのように地域規制(アクセスしている地域の放送しか聞けないというradikoの縛り)のなか、元々が短波による全国放送のため、この放送局だけは全国どこでも聞くことが出来るというすさまじいメリットを抱えたラジオ日経、それを活かさない手はないとばかりに編成を「がらっ」とかえて、日中はサラリーマン&OL世代をターゲットにした編成に変えてしまったのです。これは凄い。いや、確かに編成の変更後、ジワジワと人気が出てきていると新聞記事にもなっていた記憶があります。エライことになってきました。
そして、もう一つの記事。それが、ラジオ番組の制作現場への密着記事。これは今どき珍しいです。この記事では埼玉県にあるFM放送局、NACK5の午後の番組に密着取材。基本用語の解説から、局スタッフの一挙一投足まで綿密に取材&記録してラジオの番組ができるまでを紹介しています。ライターさん混信の、いや、違った、渾身の記事。1970年代にはよく見かけたテーマの記事ですが最近は本当に珍しい!というわけで、ラジオ番組の制作に少しでも興味のある方はぜひぜひ!日頃我々のあまり知ることのないラジオ制作の現場が見えてきます。
というわけで、久し振りにラジオを身近に感じる素敵な本が現れました。
追記:
KAY2がいつも参考にさせていただいている「国際短波放送情報」でNTTアドの「先事新聞」の記事が紹介されていました。「ネットはラジオの未来を変える!?」というタイトルで、それによると(NHKの調査を引用しています)ラジオの聴取率が上昇に転じ、インターネット経由で聞く若者が増えているという指摘がありました。さらに独自調査でネットによる聴取の実態を報告しています。興味深い記事ですので、ぜひどうぞ。記事を紹介してくださったHosoyaさんに感謝です。
KAYSのホームページはこちら http://kays1998.web.fc2.com/
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